Netscapeは好きだったけれど。
「Netscapeユーザーが他のブラウザに乗り換えるべき10の理由」なんぞを書いているからNetscapeが嫌いなのかというと、そうでもない。最初に買ったPCに入っていたNetscape 3.0の頃から、Netscape 7.1までずっとNetscape一筋で来ていた人間である。嫌いなわけがない。
あの「N」のアイコンが好きだったし、6.0が出た時は「重くたって使ってやるぜー!」と無理やり使っていた位だから、当時はかなり偏狭的だったかもしれない。Ver.7になって少し軽くなったのが嬉しかったくらいだから、IE使いとしての感覚はあまり無かったと思う。
が、Firebirdの登場で全てが変わった。
正式版ではないにもかかわらず、軽い・速い・安いの三拍子(何だそれ?)が揃っていたブラウザを目の当たりにしたことで、Netscapeを使い続ける意義を感じなくなってしまった。「オープンソースでもこれだけのものができるのか」というのが当時の驚きだったと記憶しているが、その驚きがNetscape離れをもたらしたといっていいだろう。
Firebirdは後にFirefoxと改名する事になるが、その頃には他のブラウザに乗り換えるという選択肢は消えていたから、いかにFirefoxの利点を感じていたのかが分るというもの。
Netscapeもバージョン8でFirefoxのソースコードをベースとしたブラウザになると分り、期待したが、IEコンポーネント関連の問題なのか、重いブラウザのままだったのが、結果的に縁の切れ目になったように思う。
日本語版が出ていればいくらか印象も違ったのだろうが、出ない以上人には薦められないし、自分でも使いつづけようという気にはならなくなってしまった。
セキュリティ周りの修正すらされなくなったことで、自分の中では完全に過去のブラウザになってしまったように思える。
MSに唯一対抗できるソフトの象徴でもあった、あの「N」はインターネット草創期の象徴だったのかもしれない。人々がネットを好きになっていく時代の象徴というべきか。